求道等の思うこと

アクセスカウンタ

zoom RSS 透谷の随想「三日幻境」に関して

<<   作成日時 : 2011/08/07 09:02   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 0

 I様、お尋ねありがとうございます。
普段、義務感も緊張感もない生活をしていますから、たまにこのような問い合わせが来るととても刺激になります。

質問は次の3点でしたね。

1、透谷は他にも、「幻境」という言葉をどこかで使っていますか。
2、「三日幻境」の「三日」は2泊3日の「三日」ですか。
3、「幻境」という言葉を使った理由は何ですか。

質問に順次お答えします。

1、「幻境」という言葉は私の知る限りここだけでの使用ではなかったかなと思います。しかし、全作品を一字一句渉猟したわけではありませんので断定は出来ません。透谷は「幻」という字に類するものは好みに合うようで、「幻鏡」とか「幻住」とかいう言葉は使っています。

2、「三日幻境」の「三日」ですが、先ずは普通に三日間というように捉えても構わないと思います。但し、どこからどこまでの三日なのかというと行程の中身との関係で線を引かざるを得なくなります。

明治25年7月27日の夜に川口村森下の秋山國三郎宅を訪ねたが、ご本人は不在でその晩は帰って来なかった。もちろん家人も知らぬ中ではないのでそこに泊めてもらった。

翌朝、家人は八王子に出かけているご当人のところに人をやって、透谷の来訪を知らせた。しかし、お昼頃まで戻らないので、昔遊んだ近くの山里を散策した。日が暮れて戻ってみると、國三郎も帰ってきていて、その晩(28日)は再会の喜びで寝もせず語り尽くした。

翌日は起きるのも遅かったが、期待していた大矢正夫は来ず、國三郎と二人して高尾山に向った。その晩(29日)は八王子に一泊する。

翌日は高尾山に登り、その晩(30日)はその山麓に一泊する。

翌日(31日)は二人して大矢正夫のもとを訪れ、同道して百草園に遊ぶ、というのが「三日幻境」の行程です。

これだけからすると4泊したことになる。しかし、次の「幻境」の意味にも関わることだが、川口村森下での秋山國三郎との関係であることが透谷にとって意味のあることなのである。だから、実質28日の夜から31日の朝までと考えてもよいのではないだろうか。実際、文章も31日については詳しく書かず、「記行文書きて己れの遊興を得意顔に書き立つること平生好まぬところなれば、こゝにて筆を擱しぬ。」として終えている。

3、「境」は、「境地」としてみれば、場所としての「境」でもあり、心としての「境」でもある。
「幻境」について考える場合、川口村森下というところが透谷にとってどういうところであるのかを見なければならない。

透谷門太郎が早稲田(東京専門学校)の学生だった頃、年齢的には15,6歳の頃である。自由民権運動に心酔して民権闘士らと交わる。「静脩館」というところに寄宿していた門太郎はそこで同宿の大矢正夫と知り合う。大矢はすでに三多摩地区の民権運動に深く関わっていて、川口村の秋山家に世話になっていたり、近くの村の学校の教員などをしていた。大矢に紹介されて川口村を知り、そこの秋山國三郎を知る。秋山は民権運動にも理解のある土地の名望家である。義太夫や俳句、また刀剣にも長じ、堂々たる体躯、門太郎を心酔させるほどの人間的魅力があった。

川口村では大矢と一緒に炭焼きをしたり、薪きこりのまねをしたり、街へ出て炭売車の後を押したりした楽しい想い出もあったようだ。

ところが明治18年、大矢正夫から「義挙」の資金を獲得する為の強盗に加わることを要請される。断る為に頭を丸めて川口村の大矢のもとを訪れる。それを期に透谷は民権運動から離脱します。しかし、大矢正夫との友情は終生変わりませんでした。また、透谷はこの民権運動に関わったことによって、後に妻となる石坂美那子を知ることになったのである。

このように見てくると、「幻境」とは人生のパースペクティブからみれば「はかない」しかし貴重な一時期、実際の故郷(小田原)とは違う「希望(ホープ)」としての故郷が川口村森下であり、それを象徴しているのが秋山國三郎であったとしているのであろう。

「三日幻境」はその時から7年後に再訪した記録なのである。文中、透谷は秋山國三郎を称して、「わが幻境は彼あるによりて幻境なりしなり」と述べている。つまり「境地」である。

「三日幻境」の題名については定説があるでもなし、統一した解釈があるでもないのでいかように考えてもよいでしょう。だから、あえていえば「幻」と「三日」を、「はかない」に掛けたと考えてもよいかもしれません。ちなみに、文中、「夢幻境中の詩人となり」という使い方をしているところもあります。

以上思いつくまま書いてみました。正しいか正しくないかは別問題です。参考になりましたでしょうか





テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(0件)

内 容 ニックネーム/日時

コメントする help

ニックネーム
本 文
透谷の随想「三日幻境」に関して 求道等の思うこと/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる