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zoom RSS 今、原点に返ってアンリ・バルビュスを!

<<   作成日時 : 2014/07/28 11:49   >>

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今年は第一次世界大戦開始100年。この大戦は今日の中東紛争の原因ともなる世界の枠組みを大きく変えた戦争であった。この大戦に41歳で従軍した小説家アンリ・バルビュスは、戦争の体験を経て、戦争の非人間性を告発し、その本質を追求する文学者として実践者として反戦、平和の運動を起していった。それが国際的〈クラルテ運動〉となった。現在の世界と日本の実情を見るときアンリ・バルビュスの訴えにもう一度耳を傾けてみるのも意味あることではないだろうか。


アンリ・バルビュスのアフォリズムの原型(『クラルテ』より)

*思想と人間
 「思想と人間とを混同してはならない」

* 女
「女は不合理な衝動にかられはするが、男よりは理解力にとんでいる」

「女は、社会的には、無制限に男と同等である。あでやかに輝き、子をうむ女たちは、その肉体の温みを貸しまたは与えるためにのみつくられたものではない。すべての労働が男女間に分たれ、女の協力で労苦が減少され、調和をたもつことは正しい。人類の運命が女の力にたよるのも当然である。女が本能的に華美なものへよせる愛情や、すべてを自分自分の感情で彩色する容易さや、ごくわずかな衝動によって一切を左右される性格などがもたらす危険がどうあろうと、女を無能力となす伝説は、君たちが一挙手一投足で蹴散らすことのできる靄だ。女の登場は当然の理にしたがうことであり、また心に希望をいだいて、女をしばっていた社会的、政治的の鎖がとけ、とつぜん人間の自由が二倍の大きさになる日を待つのも、やはり当然のことである。」

* 戦争とインターナショナル
「もしも侵略戦争がなければ、防衛戦争もないだろう。防衛戦争もそれをひきおこす侵略戦争と同じく破廉恥な原因をもつ。」「人は思慮が浅いためか、欺瞞偽善からか、問題が大きすぎると称して、頑として戦争を侵略と防衛の二つに分ける。真理を細分して、そのひとつひとつに屁理屈をつけようとすれば、いくらでも詭弁が可能になる。」

(お前は無政府主義かい?)「いや、おれはインターナショナリストだ。だから、志願したんだ」「おれはどんな戦争にも反対なんだ」(戦争のなかには、いい戦争もあるぜ、自衛戦争なんか)「戦争には攻撃戦争しかない。攻撃がなければ、自衛なんてありっこねえからな」(君のような人間たちがいながら、どうしてフランスが戦争の準備をするのを、やめさせられなかったのかねえ)「やめさせるには、おれみたいな人間が少なすぎたんだ。もっと大勢いたら、戦争はおこりゃしなかったよ」(それは、おれたちよりも、ドイツやほかの国の奴らにいうべきだな)「世界中にいうべきなんだ。だから、おれはインターナショナリストになったんだ」

《世界の人民よ、君たちの偉大な生活のはしばしにまで、平等をきづけ。共和制中の共和制を立てろ。それは君たちの呼吸する地球上の全表面にわたって、外部のあらゆる事情に関してガラス張りの共通な方向を打ちたて、労働、生産、商業の法則に関して平等を打ちたてることである。》
《利益には、個人的のものと全般的なものしかない。「おれ」というときには、自分を意味し、「われわれ」というときには、全人類を意味する。世界がただひとつの同じ共和制にならないかぎり、個々の国家における解放はすべて事の端緒にすぎず、狼火(のろし)をあげただけにすぎない。》

《君たちは軍事的国境と、それにもまして悪質な経済的、商業的障壁をとりのぞかなければならない。》

《君たちはまた個人のあいだでは殺人、窃盗、不正競争と呼ばれながら、国家間では是認されている暴力を禁止しなければならない。》

《国家的グループは大きなグループのなかにおけるひとつの集団だ。それは他のグループとちがわないグループであって、みずから屋根の庇のしたにぶらさがるか、風景を青くそめる、遥かにひろい大空にぶらさがるかの違いだけしかない。これは人が言葉と思想のまやかしで変形し、圧制の法規で装甲させたもので、決して決定的で、絶対的で、神秘的なグループではない。》

《祖国とは法則の個人的な集まりではない。正しい法は無色だ。祖国は利害による連合ではない。国家の利益に物質的なものはありえない。》《祖国はまた民族の結合でもない。諸国家の地図は民族の地図ではない。》

《(祖国とは)狭く、深く、なごやかな団欒と、言語の魅力へのやさしい、しみじみとした愛着と(世界の各国でちがっているのは言語だけだ)、ある種の風景や建物や気質に対する個人的の微妙な好みである。しかし、芸術や思念の傑作に対する崇拝は、世界的な同意を得て、つねに愛国的な偏狭さのうえを天翔った、魂の唯一の飛躍である。》

* 軍旗とは
「侵略と軍国主義と戦争とを象徴する、みにくい標章だ。生きた人間の大波のうえで、主権と威圧とを誇示するしるしだ。軍旗はむしろ兇器だ。国土に対する愛を示すものではなく、研ぎ澄まされた、傲慢な、挑戦的な敵意を万人の眼に見せつける。いうなれば、けばけばしい色にぬられた鷲だ。征服者とその一味は、この鷲が外国の空にはばたき、尖塔から尖塔へと天がけるのを夢想する。」

* 平等と遺産相続
「真実のなかには平等があり、現実のなかには不平等がある。この人間悪のはじまりは人類のはじまりにみとめられる。弊害の根本は遺産相続である。」「死者からその子孫へ、そのなんたるを問わず、財産と権利とを譲渡するということは、理性や道義に合致したことではない。力と富の掟、すなわち人生の掟は、生けるものにだけ与えられるべきだ。各自は、共同の運命のなかで、自分の能力に応じた地位を占めるべきで、偶然に左右されてはならないのだ。」「これは単なる伝統にすぎない。決して理性にもとづくことではない。伝統は現在を過去の集団へむすびつける人為的な接合剤で、連繋のないところへ連繋をでっちあげる。人類の不幸はすべてこの伝統からくる。伝統はまことの真理に人為的な雑多な真理をつぎはぎするもので、権利に優先し、理性からすべての自由を取りあげ、これを種々の伝説でおきかえる。しかも、その伝説のなかをのぞきみることを許さない。」「遺産相続は伝統の具体的で明瞭に把握できる形態で、もろもろの原則と信仰との伝統をもってみずからをまもる。」「若干の人間が多数の人間を掌中ににぎっているのを見るのは、この全面的な連繋のためである。」

「君たちは死者の権利、なんにまれ権力の相続を禁止しなければならない。――相続は、いかなる程度のものでも、不正である。そこには因襲がはいりこみ、労働および平等の秩序に対する侵害となる。」

* 子供と教育そして教科書
「子供の精神は極めて貴重なもので、すべてのものがこれを保護してやらなければならない。世の家長は子供たちが生まれながらもってくる無知を勝手気儘にあつかう自由を与えられていない。」「子供は肉体および精神とも両親のものではない。一個の独立した存在である。」

「教科書だが、諸民族の過去のうちのもっとも軽蔑すべき卑劣な事績に、わけのわからない威光をきせる教科書も、世界の隅々から放逐しなければならない。六千年まえから二千億の人民がつくりあげてきた、あの混沌の大筋と頂上と光明と暗黒とを物語る世界の歴史以外には、なにもいらないのだ。」

* 教会
「教会は、自分の手で圧迫し、力による暗黒を支持しないときには、その権威を圧迫者に貸し、彼らの口実を神聖化した。現在においても、教会は貧民の支配をのぞまない連中と緊密に結合している。国粋主義者が戦争に活気を与えるために家庭の楽しい団欒を要求するように、教会は福音書の詩に訴える。しかし、教会は貴族党にそっくりの党派となり、十字の印はひとつひとつがイエス・キリストの頬を張るにひとしい。人はキリストをもって偽善者をつくったように、郷土愛をもって国家主義者をつくりあげた。」


注)アンリ・バルビュス(Henri Barbusse 1873〜1935)フランスの小説家。はじめ詩人として出発し、詩集《嘆く女たち》(1895)を著す。のち新聞記者を経て、小説《地獄》(1908)を書き、人間の内面を表現した。第一次世界大戦が始まると41歳で従軍し、その体験を小説《砲火》(1916)に著してゴンクール賞をうけた。また、1919年には小説《クラルテ(光明)》を発表し、平和と人間解放をめざす国際的な〈クラルテ運動〉の契機となした。なお、〈クラルテ運動〉の影響は日本でも大正期の雑誌《種蒔く人》にみられる。


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